看護師がマスクを着用することは、感染予防や衛生面といった点から欠かせません。けれど、患者によっては、看護師がマスクを着用しているからこそ、不便を感じるという場合もあるので注意が必要です。その最たるものと言えば、表情が見えないといった点が挙げられます。特に、前髪があり、大きめのマスクを着用していると、患者から目視出来る部分は目の周りの僅かな箇所だけになってしまうので気を付けたいものです。どんなに優しく微笑みかけていたとしても、露出している僅かな部分からそれを読み取ることは至難の業といえます。病院嫌いの小児などには、怖がられることもあるかもしれません。マスクを着用した姿が患者にどのように見えるのか、客観視しておくことが大切でしょう。
また、マスク着用の上で障害になることと言えば、声の聞き取りにくさが挙げられます。マスクの中では声がこもりやすくなるので、1つ1つの言葉が聞きとりにくくなるだけでなく、声色が変わってしまうことも多くあります。補聴器を付けている人や耳が遠い高齢者は、他の人よりも聞き取りにくくなるので、特に注意が必要といえるでしょう。マスクを着用していない時と同じように話すだけでは不十分であり、速度や音量、言葉選びなどに気を付けること、そして相手が理解しているかどうかをしっかり確認することが欠かせません。
さらに、マスクを着用した上で、普段と同じか、それ以上の大きな声を発するには、通常よりも力が必要になります。多くの息を吸おうとして呼吸が荒くなったり、口周りを大きく動かすために力が入って疲れてしまうといったこともあるので気を付けましょう。